私が今日皆さんに申し上げたいことは、ゴリラから見るとき、人間の一番素晴らしい点は何かといいますと、「分かち合いの精神」、それから「弱みを強みに変える」という発想です。これは、ゴリラにはできなかったことなのです。 しかし、人間は700万年ぐらい前から、徐々にその豊かで安全な熱帯雨林を出始めました。サバンナ、草原へ出ていったわけです。そこでは、やはり乾期が長くなりますから、一年中食物が得られるというわけではない。食物をどこかで大量に獲得し、それを安全な場所に運ばなくてはならない。熱帯雨林には高い木があります。地上性の大型の肉食動物は木に登れませんから、そこは安全な場所でした。だから、いまだに人間に近いチンパンジーやゴリラやオランウータンは木の上に登って寝ます。ところが熱帯雨林を離れれば、そういう場所はありません。食物を得られたとしても、ライオンやハイエナなどの肉食動物に狙われてしまいます。だからその食物を手で運び、安全な場所で待っている仲間と一緒に分かち合う必要があったわけです。ここにはすごく大事なことが隠されているわけです。 チンパンジーと人間がdnaの96%の類似性を共有していることが研究により示されています。人間、チンパンジー、ボノボはゴリラと1.6%異なり、人間とアフリカの類人猿はオランウータンと1.3%異なります。人間を含むすべての素晴らしい類人猿はサルと7%異なります。 今、私たちは非常に巨大な人口を抱えた都市に生きています。そして、近くにいる人の方が遠くで通信機器としてつながっている人よりも疎遠であるというような、複雑な関係を持ちながら生きています。どうやってそれをコントロールしていいのか、困っているのです。誰を信じていいのか。近くにいる人を信じていいのか、それとも、SNSでつながっている人を信じていいのか。いま人間は身体と脳が分離して、脳だけでつながり始めている。そこに登場したのがAIです。AIは脳をつなぎ合わせることができ、人間をもっとこれまで以上に一体化させるでしょう。その時に、私たちはどう身構えなくてはいけないのか。人間というものが、どういう存在であり続けなければいけないのか。あるいは、どう変われるものなのかということを、しっかり見定めた上で未来を見つめなければならないだろうと思っています。 続く山極 壽一氏(やまぎわ・じゅいち)霊長類学者・人類学者1952 年東京都生まれ。第26 代京都大学総長。霊長類学者・人類学者。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。理学博士。ルワンダ共和国カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンター研究員、京都大学霊長類研究所助手、京都大学大学院理学研究科助教授、同教授、同研究科長・理学部長を経て、2014 年より現職。日本霊長類学会会長、国際霊長類学会会長を歴任。現在、日本学術会議会長、国立大学協会会長、環境省中央環境審議会委員を務める。〒177-0032 人間は二足で立って、手で食物を運ぶという歩行様式をつくったことによって、敏捷性が落ちました。つまり弱くなってしまったのです。肉食動物が狙うのは、大人ではなくて子どもです。子どもがたくさん肉食動物に殺され、幼児死亡率が上がります。哺乳動物で、肉食動物の餌食になる動物に、日本ではイノシシやシカがいますね。彼らは、一様にある特徴を持っています。それは、たくさん子どもをつくれるということです。たくさん子どもが殺されるのであれば、それ以上に子どもを産まなければ、その種を増やすことはできません。人間の祖先も同じように多産型の道を選びます。ただし、一度にたくさんの子どもを産むことは類人猿の性質上不可能なので、出産間隔を縮めて何度も子どもを産むような形になるのです。そのためには早くに離乳させなければいけない。母乳をあげているうちはプロラクチンというホルモンが出て、排卵が抑制されます。つまり妊娠ができないのです。おっぱいから引き離せば、排卵が回復して、早く次の子どもを産む準備ができる。その為、赤ちゃんの離乳が早くなったのです。そのために、本来ならば授乳しているはずの赤ちゃんへ、代わりに違うものを食べさせるということになった。ゴリラなど人間に近い類人猿は、離乳する前に永久歯が生えています。離乳した時から、大人と同じ物が食べられるのです。でも、人間の赤ちゃんは1〜2歳で離乳しますから、ずっと乳歯です。6歳にならないと永久歯が生えてこない。本来ならば、人間の赤ちゃんは6 歳まではお乳を吸っていていいわけです。ところが、そのずっと前に、赤ちゃんはお母さんから離されます。そのために、赤ちゃんに特別なもの、柔らかい、糖分の高い果物などを運んでもらわなければいけなかった。それにはコストが必要だったし、危険が伴ったはずです。そうまでして人間は赤ちゃんを離乳させ、その成長の遅い赤ちゃんを、みんなで育てるということを始めたのです。 しかも、200万年前には人間の脳が大きくなり始めました。当初はまだ、600ccという、ゴリラの500ccをちょっと超えた段階でしたが、それから150万年間に人間の脳は3倍になりました。われわれの脳はゴリラの脳の3倍ぐらいある。その脳を大きくするために、成長期にまずは脳に過大なエネルギーを送り続けて、その分、身体の成長を遅らせるということを始めたわけです。なので、人間の赤ちゃんはまず脳が一気に成長する。その脳の成長を助けるために、分厚い脂肪に包まれて大きな重たい赤ちゃんを産むようになったわけです。しかも、直立二足歩行によって骨盤の形が大きく変わってしまったため産道を大きくできない。だから、出産に時間がかかる。難産になる。母体が危険にさらされる。それをみんなで助けて出産をさせ、そして、ひ弱でエネルギーがたくさんいる赤ちゃんを、みんなの手で育てる。それが可能になったから、人間はたくさん子どもを増やすことができ、死亡率が高い過酷な環境で生き延びることができるようになった。これが人間の社会力なんです。 そして、ただ食物を得ていた時とは違い、今度は分配するということが必要になります。例えば食物を3つ持って帰ってきて、それを10人で分ける場合に、不満の無いように分ける方法が必要です。待っている人たちも、自分の取り分が何かということを、そこで考えなくてはならない。そのように食物が人と人とをつなぐ重要な接着剤となったわけです。食物を持ってくる人は、その人間関係をコントロールすることさえできる。だから、食物は人間の社会的な道具になった。これはとても大きな変革だったと思います。 手話を覚えるゴリラも
今では食物をスーパーマーケットなどで買って調理し、家族や仲間と一緒に食べることが当たり前になっていますが、野生動物は絶対にそんなことをしません。食物は自分の五感で確かめて、安全性を確認した上で食べるものだからです。ところが、食物を仲間の元に運んでいくということは、その食物がどこから採られ、どういう性質のものであるかを、待っている人は見ていないわけです。自分の五感によって確かめていない。だから、それを食べられるということは、その食物を信じているんじゃなくて、食物を持ってきた人間を信じているということなんですね。その時から信頼関係によって、一緒に食物を食べるということが始まったわけです。 これは、動物から見たらとんでもない話です。ひょっとしたら、自分に毒があるものを食べさせるかもしれないですから。だから、私が経験したアフリカのいくつかの村では、食物というのは必ず家族が調理したものしか食べないという文化がありました。一昔前に、和歌山県でカレーにヒ素が混入された事件がありましたが、今だって仲間を毒殺しようとすれば簡単です。では我々が食材を買ってきて調理するのはなぜかというと、スーパーマーケットは絶対にそういうことをしないと信じているからですね。人を信じ、組織を信じ、流通を信じている。そういうシステムが人間社会に出来上がったからです。その源にあるのが、二足で立って食物を手で持って運び、仲間の元に持ち帰り、安全な場所で共食をするということなのです。これができたからこそ、人間は危険な草原で生き長らえることができた。ここで分かち合いということが人間社会で一般的になったわけです。 人間とゴリラのゲノム(全遺伝子情報)の違いは1.75%しか変わらないと言われています!生まれたときの人間の脳はゴリラとあまり変わりません。ゴリラの血液型はみんなO型だという話を聞いたことがありますが、ABO型の血液を持っています。 また山極先生の研究によりますと、人間とゴリラの遺伝子の違いは実は1.2%ほどしかなく、このゴリラの社会や生態を見つめる事で、人間がどのような経緯で、今のような形にまで進化してきたのか、その背景というものが見えてきます。 人間とゴリラのゲノム(全遺伝子情報)の違いは1.75%しか変わらないと言われています!生まれたときの人間の脳はゴリラとあまり変わりません。ゴリラの血液型はみんなO型だという話を聞いたことがありますが、ABO型の血液を持っています。
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